鎮守の森、里山、雑木林(その3)

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鎮守の森も、雑木林も豊かな植生と生物相をもっています。しかし、植生としては、両者は全く異なるものなのです。鎮守の森は、土着の植物に覆われていることが多いのです。信仰の対象という後ろ盾に守られた森は、人による伐採を許さなかったのです。いわば、鎮守の森は、ミニチュア原始の森なのです。潜在自然植生という言葉があるそうです。潜在自然植生とは、人間活動を停止したとしたときに、その土地の自然環境条件の総和が終局的にどのような植生を支えうるかという理論的な自然植生のことをいいます。つまり、森の生態を考えた場合、これに対して、もともとその土地に合った、植物群で林を構成すると、手入れをしなくても、一定期間の生存競争を経て、立派な林に成長するという。鎮守の森は正にそんな森なのです。一般論でいえばこの潜在自然植生を見つけるのはかなり難しいのですが、日本では、鎮守の森の植物がまず間違いなくこれに相当するのだそうです。

一方、クヌギ・コナラで形作られ、豊かな自然の象徴のようにいわれている武蔵野の雑木林も、潜在自然植生は常緑のシラカシの林だったのです。二次林である雑木林は、花粉症の原因となっている杉や檜の林と同じ(昆虫など生物層の多様性は、雑木林の方がはるかに豊かなのだけれど)なのです。このような、二次林は、手入れしないと森が消滅してしまうのだそうです。

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