場所の情報(原風景:その4)

| コメント(0) | トラックバック(0)
のように、二人の立場はかなり異なっています。岩田が「個人」を重視するのに対し、木岡は、「日本人の原風景」という言葉で表せるようなもう少し一般的な概念を当てはめています。木岡は前述のように、「基本風景」という概念を提唱しています。「原風景」と関連するので少し説明しましょう。木岡は、「基本風景」について、「個人的体験をとおして、あらゆる行為に無言の指示を与える習慣こそが風景経験の根本的な核心であり、それは語られることのない風景である」というのです。このことから、木岡の「基本風景」が、岩田の「原風景」の定義に近いといえるかもしれないとおもいました。あるいは、「基本風景」は、岩田のいう「原風景」の「地」の部分であり、基本風景にさらに個人的な体験を図として付加する作業によって生まれるのが、岩田のいう「原風景」であるといえるかもしれません。


木岡は、「基本風景」が語られることにより、社会的意味をもつ「原風景」になるのだといいます。社会的意味をもつためには、ミクロコスモス世界の経験など極めて個人的な体験は排除され、山や川など、その地域に暮らすすべての人にとって体験可能な風景が語られるのは必然です。この考えを基にもう一度岩田のいう「原風景」を考えてみましょう。岩田による「原風景」の地の部分は、実は、個人的な体験だけに基づいているのではなく、社会的な意味を含む木岡のいう「原風景」なのだということができるかもしれないと思うのです。自分では、個人的な体験だと感じていても、社会に暮らす人間は、社会的影響を排除することは不可能なのだということを木岡は指摘しているのです。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://stulab.jp/mt-tb.cgi/274

コメントする

最近のブログ記事

進化と多様性
 人類は自分たちが最も進化した生物だ
生物の遺伝的進化と人類の文化進化のアナロジー
 生物の遺伝的進化と、人類の文化の進
藤原新也「書行無常」展
藤原新也「書行無常」展に行ってきた
虫と人間(3)
害虫に関連するおもしろい本を見つけた
風景とは (3)
このようにみてみると、風景とは、
風景とは(2)
2:風景とは、必要とあらば感覚的な
風景とは(1)
これまで、原風景について考察してきま