著者:岩田慶治
シリーズ:講談社学術文庫864
出版社:講談社
出版年:1989
アニミズムの興味をもって勉強しだしたころ出会った本。日本人は無宗教というが、これほどカミに対する感性を持っている国民は珍しいのではないか。自然の強い國ならではのことだと思う。
心に残る一文:カミと神と、私はどちらをえらんだらよいといっているのではない。人類が長い歴史のあいだに苦難の日々を重ねながら信仰しつづけてきた一神の姿を、尊いものと思っている。しかし同時に、山河大地、草木虫魚としてわれわれをとりまき、そのなかから、突然、カミとしての姿をあらわすアニミズムのカミにも、言葉でいいあらわせない親しみを感じている。このごろ、自然保護がつよく叫ばれているが、そのさいもっとも大切なことは、自然に対するこういう原始の感情をもちつづけることではなかろうか。
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